自動車保険 豆知識(20)~大雨で水没した場合の車の損害は?

◆集中豪雨、線状降水帯などに伴う大雨で車が水没した場合の補償は?

まず、誰かに損害を請求できるか?を考えましょう。

建物に設置されている地下駐車場などで水没した場合は、建物の所有者や管理者に賠償請求できるでしょうか?基本的にはできません。

一般的な大雨などで他の施設において水没が発生していないのにも関わらず、駐車場内に水があふれて水没した場合には施設管理者の責任を問うことは可能かもしれません。また、過去に何度も浸水被害を受けていながら施設管理者が十分な対策を講じないまま事故が発生した場合にも責任を問うことは可能かもしれません。

しかしながら、集中豪雨や線状降水帯により急激に水位が上昇した場合や、数十年に一度の降水量により浸水し水没した場合には「不可抗力」のため施設管理者に責任を問うことはできないと考えられます。

では、現実的には水没したら丸損なのか?というと、自動車保険(任意保険)で自己防衛することは可能です。ちなみに、自賠責保険は対人事故に対する最低限の補償なので、自動車保険(任意保険)に車両保険を付帯していなければ補償されません。

◆どのような補償内容を付帯すべきか?

自動車保険に「車両保険」を付帯する必要があります。車両保険には「一般条件」と「車対車+限定危険」の2種類がありますが、どちらでも水没は補償されます。「車対車+限定危険」は保険会社によっては「エコノミー」とか「車対車+A(A=Accident)」などと呼ばれることがあります。

一般的に車両保険は保険期間の途中から追加付帯することができますが、保険会社によっては追加付帯を受け付けないところもあるようです。また、車両保険を付帯する場合には「車両の型式(+グレード)」「初度登録年度」による「自動車保険車両標準価格表」などに掲載の価格の範囲を基準とした車両保険金額を設定することが必要です。車両保険金額については保険会社や代理店に確認して設定しましょう。

この場合、「レアな車両をオークションで1億円で買った」「100万円で中古で購入して1,000万円かけてカスタムした」などのプレミア価格についてはほぼ認められません。(一部保険会社では引受け可能な場合もあるらしいですが)

また、保険会社によって(特にネット保険)は、高額な車両や年式の古い車両は車両保険の引受対象外であったり、様々な確認資料を求められたりした挙句に車両保険を引き受けなかったりするケースもあります。引受の可否や詳細については保険会社に確認する必要があります。

(文責:白井利典)