自動車保険 豆知識(21)~車両保険の補償範囲は?

◆自動車保険(任意保険)に付帯できる「車両保険」は何を補償してくれるの?

自動車保険を契約する際に「車両保険」を付帯している割合は、乗用車(普通車・軽自動車を含む)で78%以上となっており多くの方が車両保険を契約しています。(2022年3月末・損害保険料率算出機構)

「車両保険」はご自身のお車の損害を補償するものです。事故によって生じたお車の損害、盗難や火災、水没、ひょう、動物との衝突、落下物との衝突など幅広く補償されます。(相手のお車については「対物賠償」となります)なお、補償される金額としては、契約時に設定する車両保険金額を上限に修理費用や全損時の保険金支払いとなります。

車両保険の補償には大きく分けて2種類あります。「一般条件」「車対車+限定危険」です。「地震・噴火・津波」以外の補償となる「一般条件」よりも、自損事故などが対象外となり補償範囲が限定されている「車対車+限定危険」の方が保険料は割安となっております。

「車対車+限定危険」は保険会社によって呼び名が異なっており、「エコノミー」「車対車+A」「限定危険」と呼ばれることもあります。

 

◆「一般条件」と「車対車+限定危険」の補償範囲の違い

「一般条件」は「地震・噴火・津波」以外の損害は補償されています。具体的な補償内容は

①ご契約の自動車以外の自動車との衝突:一般的な相手のある事故による損害、自動車保険の対象となる車両(軽車両は対象外、⑩で補償)  

②当て逃げ:当て逃げした相手車両が特定できない場合も補償。

③人や動物との衝突:路上に飛び出した鹿や熊・狸・犬・猫など。人を轢いてしまった場合も。

④盗難:車両本体および付属物が補償の対象。積載物、車載物については特約で補償。

⑤火災・爆発:契約車両からの出火や爆発のほか、類焼損害や近接地での爆発による被害も補償。

⑥台風・竜巻・洪水・高潮:風で飛ばされた・転覆された、洪水や高潮で水没したなど。走行中の水没も補償される場合もある。

⑦落書・いたずら:マジックで車体に落書された、腐食性の液体をかけられた、硬貨や石などで傷つけられたなど

⑧物の飛来・落下:降雹被害、航空機部品の落下、野球の打球による損害、外壁の落下、看板の落下など

⑨電柱・ガードレール・建物・その他物体に衝突:いわゆる自損事故

⑩自転車との衝突・接触:自動車保険の対象外の軽車両等、電動アシスト自転車、シニアカー、キックボードなど

⑪墜落・転覆:崖から墜落、急な坂で車体が転覆、道路陥没で車体が落下など

 

「車対車+限定危険」

上記の一般条件のうち⑨⑩⑪を対象外としています。このうち注意しなければならないのは⑩で、①との区別が理解しづらいところです。

①は相手車両が自動車保険の対象となる車両(自賠責の対象車両)で、二輪・三輪・四輪・それ以上のタイヤを持つ大型車両などを指します。対象外となるのは自転車・電動アシスト自転車・一輪車・キックボード・シニアカーなどの「軽車両」です。

ちなみに、電動キックボードやモペッド(モペット)などは①の範疇となります。電動アシスト自転車は「軽車両」でモペッド(モペット)は「車両」に分類されます。

これら相手車両が「軽車両」の場合は⑩の対象となります。したがって、「車対車+限定危険」の場合は相手車両が「軽車両」の場合の自車の損害は車両保険の対象外となります。

最近は自転車の規制が厳しくなったとはいえ、縦横無尽に無謀な運転をする自転車も増えています。相手が自転車の事故で自車両が損害を受けるケースも増えていますので「一般条件」でご契約することをおススメします。

(文責:白井利典)