自動車保険 豆知識(7)~自分は事故に遭わない?
◆事故に遭う確率ってそんなに高くないのでは?
事故を経験した方は、意外と事故は身近にあるものだとの印象をお持ちかと思います。
その反面、事故を経験したことがない方は、そんなに事故に遭うことは無いとお考えの方が多いかと思います。特に、自分だけは事故に遭わないという自信を持っている方も結構いるんです。
では、データを見てみましょう。
・交通事故発生件数は30万5,196件。これによる死者数は2,636人、負傷者数は36万2,131人。
・交通事故発生件数及び負傷者数は17年連続で減少したほか、死者数も減少傾向に。
・全体の中で65歳以上の高齢者の交通事故死者は、全体の57.7%と依然として高い。
(内閣府:令和3年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況より)
統計によると毎日836件の事故が発生しています。これは単純に47都道府県で平均すると毎日17~18件が各県で発生していることになります。駐車場内などの私有地内での事故や軽微で警察に届け出ていない事故は統計に入っていないので、実際はもっと発生件数は多いと思われます。
データのとり方や切り口によって出てくる数値が異なりますが、いかがでしょうか?少ないと思いますか?
◆事故に遭いやすい、事故を起こしやすいドライバー
事故を起こしやすい方や、何度も事故を起こす方も結構いるんです。
・安全確認を怠るなど、道路交通法を守らない運転をする
・脇見運転や漫然運転など、安全運転義務違反を犯す
・慌てたり焦ったりして運転操作を誤る
・運転にむらがあり情緒不安定な性格をしている
・周囲の動きを察知できずに自分の運転に集中しすぎる
・状況判断が遅く周囲のドライバーとは異質な動きをする
これらの特徴を持つドライバーは事故を起こしやすい、または何度も事故を起こすのは明白です。
筆者の知人にも「よく追突されるんだよね~」と言う方がいましたが、助手席に同乗させてもらったところ理由がよくわかりました。交差点で信号が黄色になったとたんに加速し、通り抜けるのかと思いきや気が変わったのか急ブレーキで止まるという癖がありました。また、信号が変わって動き出す際にも少し動いて一旦止まり再発進するという謎の行動をする癖もありました。
これでは毎日追突されてもおかしくはないでしょう。
◆事故に遭わないようにするには
効果的な防衛方法は案外簡単なことです。
・安全確認をする(特に左右の確認)
高齢者は視野が狭くなるとともに左右への首の可動域も狭まるため、億劫になり安全確認がおろそかになりがちです。
・周囲の動きを観察し、危険を早めに認知する
JAF(日本自動車連盟)のウェブサイト『JAF Mate Online』などを活用して危険認知能力を高めると良いでしょう。
・道路交通法を守る
道交法は危険を避けるために、事故を起こさないために作られています。つまり、意味のある法律なのです。
例えば、一時停止。停止線で止まったのでは確認できないからと確認できる位置で止まる方が多いですが、道交法で定められた「停止線で止まる」ことに意味があります。停止線で止まってから確認できるところまで進んで再度停止する「二段停止」が事故を防ぐことに繋がります。トラックドライバーなどプロのドライバーは「三段停止」を会社から義務付けられている場合もあります。
・体の不調や心の不調を避けて運転する
体調不良で正確な運転ができそうにないときは勇気をもって運転を諦める。気持ちを落ち着けて「カッ」としないで運転すること、「イラッ」としても一旦深呼吸して6秒待って冷静になる。自分自身を上手にコントロールすることが安全運転に繋がり、事故に遭わないようになります。
◆事故で得する人はいません
事故に遭うと「加害者」も「被害者」も損します。自動車保険に入っているから支払いは大丈夫だとしても、事故の責任割合によってはどちらかに(あるいは双方)自腹負担が生じることもあります。また、自分の車の修理代が十分出ないこともあります。
そして、解決までに時間もかかり、精神的に大きな負担がかかることも。事故で免許停止などになれば仕事にも影響があるかもしれません。勤務する会社によっては人事評価に影響するかもしれません。
事故で損する前に自分自身の安全運転を見直してみませんか。
(文責:白井利典)